多重心世界シンフォニックハーツ〈2〉多声者の終焉
多重心世界 シンフォニックハーツ〈下〉多声者の終焉 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 永森悠哉,曽我部修司,高山瑞季
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/02
- メディア: 文庫
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ストーリー(「BOOK」データベースより)
理不尽な権力をふるう、複数の人格を持つ<多声者>たちとの戦いの中、人格をひとつしか持たない<独声者>の少年ソロの中に現れた、異次元からの人格ファントム。多重人格世界の真相を告げる彼を、恋人カノンを失ったソロは素直に受け入れることができなかったが、確実に変わりつつある世界を目に、ついに戦うことを決意、仲間とともに、最終決戦の地<多声神の塔>へ向かう!
壮大なスケールで描く、驚愕のスペース・パンク、ここに完結!
さて、完結巻です。
429ページと、前巻より100ページちょい増量されています。
ただでさえ読みにくく時間がかかるのに・・・マゾにはたまらないなぁ。
この巻に書いてある上巻のあらすじを読むと、上巻がだいたい把握出来てしまいます。
310ページにも渡って書いたものを6行にまとめられるとは・・・・・。
前巻の終わり方が主人公にとってはバッドエンドだったので、今回は鬱スタートです。
この巻は主人公の心の成長を見るものだと思ったのですが、やはり主人公の出番は少ない・・・。
最初のセリフから、脱走、帰還までに100ページくらい使ってるんですが、主人公が関わる話はたったの20ページ弱です。
本当に主人公なのか?
1巻を全て読み終わって感じた主人公の出番の少なさは何も改善されていなかった…
この作者の文章は説明的すぎるんだよなー。
回りを固めなきゃ次に進めないのかな?それともこれが読みやすいと思っているのかな?
この書き方はどうも苦手だ。
そして前巻でのネタバレネタバレによってヒロインが交代しました。
これもあまり好きじゃない。
「あたしじゃだめなの、ソロ?」
「私じゃ、だめですか?」
主人公はいつのまにかフラグを立てて放置するようなダメ男に成長していた。
この主人公はノコギリで斬られちゃえばいいよ。
守るべき者の為に必死に強く生きていた主人公だったけど、大切なものの喪失によって変わってしまった。
それは、一方から見れば成長なのかもしれない。
しかし、一方から見ればそれは、退化なのだと思う。
個人的な望みとしては主人公には小さい世界でもいいから幸せになって欲しかった。
今までツラいことを背負っていった分、報われて欲しかった。
世界とはこんなに非情なのか。
人生の8割は不幸で出来ているとはわかっていても、残りの2割は本当に大切なものを掴むことの出来る幸せがあって欲しかった。
世界はきっと幸せになったんだと思うけど、主人公にとってそれは本当の意味で幸せだったんだろうか?
この状況を受け入れたことは妥協だったのではないのか?
本当に望む世界は1巻の時点で永久に失われてしまったから。
なんというか、煮え切らないなぁ……