多重心世界シンフォニックハーツ〈1〉独声者の少年



ストーリー(「BOOK」データベースより)



住人のすべてが多重人格である惑星アーモネイディア。人格数の多さがすべてに優先する社会の中、人格を一つしか持たない“独声者”の少年ソロと少女カノンは、社会から不当に扱われ鬱屈した日々を送っていた。しかし、ある時ソロの前に謎の男が現れたことから日常は一気に戦場へ。だがそれは驚愕の真実を知る戦いの始まりに過ぎなかった!?偽りの価値観、崩壊する世界―今こそ立ち上がれソロ!!第10回スニーカー大賞“奨励賞”受賞作。



第10回スニーカー大賞“奨励賞”受賞作だから読んでみた。
以前感想を書いたイチゴ色禁区も同じ理由です。



登場人物紹介



したいところですが、あまりにも数が多くなるので割愛させていただきます。
一応カラーイラスト裏に載ってる分だけは書いておきます。

  • ソロ・カーツェル
  • カノン・フェアライト
  • エオリア・エクシス
  • シリウス・ダブルフラット
  • ジーン・レイカ
  • ラレン・シンクレイヴィア
  • リート・E・ミュー


【ソロ・カーツェル】
主人公。ハイスクールに通う少年。
誰もが一つの肉体に複数の人格を収めている〈多声者〉であるこの惑星において、人格を一つしか持たない〈独声者〉に生まれついたため、様々な苦労を背負ってきている。
いつか自分の生まれてきた意味と果たすべき役割が見つかるものと信じているが・・・・・・。


【カノン・フェアライト】
ソロを保護しているモルトの一人娘。
ソロと同じ〈独声者〉であり、彼女はそれに伴う世間の目に耐えられず、部屋に篭りきりになり、周囲を拒絶している。
ソロは根気強く彼女の心を解こうとするが・・・・・・。


【エオリア・エクシス】
三ツ星の異常多声者。
絵に描いたような彼女だが、彼女の中には元素増幅力を持つリリン。そして謎の人格シュゼットという二人の少女が存在する。
彼女たちが異常をきたした背景には、哀しい過去が・・・・・・。


シリウス・ダブルフラット】
三ツ星の異常多声者。
惑星に名を轟かす稀代の詐欺師。
異常に見舞われたことで人格調和機構に追われるようになり、それがきっかけでシンフォニアにスカウトされた。
エオリアと行動を共にする。


ジーン・レイカー】
シンフォニアのメンバー。
三つの人格を持つ三ツ星でスパイ活動を生業とする。
元人格調和機構のスモルツ隊に所属していた軍人。
しかし、第三人格のフレディが異常をきたし、機構を追われた。そして・・・・・・。


【ラレン・シンクレイヴィア】
惑星を蝕む階級社会の解消を求める反星府組織『シンフォニア』の象徴的存在。
五つの人格を持つ五つ星。
星府によって放逐された元星府閣僚や軍人、統合された各地のレジスタンス、そして人格の暴走を起こした異常多声者という三つの立場からなるシンフォニアをまとめあげる麗人。


【リート・E・ミュー】
ラレンの女性副官。
二つ星の異常多声者。
どんなときでも優秀であろうと人一倍心がけており、副官として三歩後ろを歩く姿は有能な秘書のよう。



物語のコンセプトとして、「多重人格が普通の世界」という話なのですが、そのおかげで「キャラクター数×2〜5人分」のキャラクターが存在することになります。
ライトノベルって絵が少ないじゃないですか?
それなのにこんなにキャラクターが多いと混乱します。一応人格が変わったときに瞳の色と服装が変わります。
ライトノベルって絵が少ないじゃないですか?意味ねぇんだよその設定はよぉぉ!!
なので把握出来るかどうかは読み手の記憶力にかなり左右されるかと思います。


さて感想です



主人公は人格を一つしか持たない「独声者」(モノス)で日々『偏見』に苦しんでいます。
この世界は人格数の多い人ほど優れているとされる世界。人格数が少なければ実績を上げても評価されにくい世界。
そんな世界での独声者(モノス)の扱いはそれはもう酷い・・・・・。


「ここは善良なアラスの街だ、働き口くらいあるさ。――なんたって、人格が一つしかない居眠り野郎を住み込みで働かせくれる飲食店があるくらいだからな!」

「なんとか言えよ、ソロ。『生きててスミマセン』とか、あるだろ言うことが。――それとも人格だけじゃなく耳も無いのか? ああ?」


この主人公はかなり好きでした。
いくら迫害、差別を受けていてもめげない強い精神力に胸を打たれました。


なのに、登場数が少ないんだよ!!!
主人公が物語の3分の1も出てこない。
場面切り替えすぎなんだよ!!


物語の設定はすごく面白いと思ったし、キャラクターもそれぞれ良かった。
だからこそ、文章が合わなかったのが残念です。
これがもしアニメとかならかなりいい作品なのかもしれない。
だけど、ノベルでは読みにくい。想像しにくい。と感じた。


きっとボクが活字の文章にあまり慣れてないからとか、学が低いからとか、そんなことも影響するんだろうな。
悪くは無いんだけど、いまひとつって感じ。


そして、上巻の結末はかなり納得がいかなかった。
そこまで来てネタバレネタバレしちゃうのは萎えるわー。救えねぇ……。





イラストを担当してるのはシトロネットの曽我部さんと高山さん。
中二病全開の衣装などかなり好きでした。
主人公が中性的な男の子の顔をしてるのがまた良かった。